12/05 (木) 民映研×塩屋 vol.24 ドキュメンタリー映画上映会「竹の映画」

「私たちが生を受けた日本列島に生きる 庶民の生活と生活文化を記録する」
姫田忠義|民族文化映像研究所|ドキュメンタリー映画上映会

【 上映作品 】

作品番号66「竹に暮らす」 (1989年 41分)
作品番号118「竹の焼畑 十島村悪石島のアワヤマ」 (2001年 50分) 

日時:2024年12月5日 (木) open 19:00 start 19:30
会場:旧グッゲンハイム邸(JR / 山陽塩屋駅徒歩5分)
   神戸市垂水区塩屋町3丁目5-17
料金:一般 1,800円 シニア・U-25 1,200円 小中学生 500円
主催:NPO法人ヒューマン・ビジョンの会
共催:塩屋音楽会

予約・問い合わせ:旧グッゲンハイム邸

TEL : 078-220-3924 FAX: 078-202-9033
E-mail : guggenheim2007@gmail.com

* ご予約送信の際に、件名を「チケット予約」としたうえ、
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「竹に暮らす」民映研作品no.66
(千葉県君津市泉/富津市竹岡/勝浦市 1989年 41分) 

房総半島には、竹細工職人がたくさんおり、籠、ざる、釣り竿、竹梯子、尺八、笛、団扇などが作られていた。ここでは内記明男さんの籠・ざる製作を通し、竹細工のもつ肌あいを好み、技術をみがき、自然に感謝しつつ竹に暮らす人々を記録している。

千葉県君津市泉。ここへは江戸時代に竹細工が伝えられた。泉は君津市の山間部にあり、人々はわずかな田畑をひらき生活してきた。戦前までこの地区の八割の家でざるを生産していたという。

ざるの底は、重さに耐えられるよう骨組みの竹をしっかりかみ合わせて編む。そして底から胴へと立ち上げる腰上げの作業をする。ざるのでき具合いはこの腰上げの善し悪しで決まる。ここまでは主に男の仕事である。胴の部分の編み上げには女や子どもも参加した。泉では家族ぐるみで大量にざるを作ったのである。最後に縁を皮のついた竹で巻く。力を必要とするこの作業も男の仕事であった。二斗ざるや一斗ざるは主に米の運搬や収納に使われるため、米の重さに耐えうるよう、特に縁の部分が丈夫に作られる。海苔取りざるは浜を引きずって使うので、できあがったざるに補強の竹をさし込んで底を丈夫にする。必要がさまざまな工夫を生み続けてきたのである。ざるは職人たちの行商で売られた。販路は遠く木更津や富津の農村地帯に及び、天秤に40個のざるを担いで売り歩いたという。

「竹の焼畑 十島村悪石島のアワヤマ」民映研作品no.118
(鹿児島県鹿児島郡十島村悪石島 2001年 50分)

悪石島の全島を覆う琉球寒山竹は、株立ちで育つ熱帯性の竹で、その旺盛な繁殖力で島の地力を養ってきた。その竹山を焼いてアワを栽培する焼畑・アワヤマは、昭和30年代末に途絶えていた。これは、その復元作業である。

旧暦一月下旬。島の北東部・大峰とよばれる台地状の緩傾斜面地区。山の神々へ祈り、アワヤマキリの作業開始。まず一列にまっすぐ竹山を切り開くシリアケに始まり、そこからワキを切り開き、焼畑地全体を広げていく。旧暦二月下旬。アワヤマ日和(ハーヤマビヨリ)。切り開いた竹がよく乾燥し、火入れ時期である。まずホサギ作業、防火のため畑地の縁の枯葉や枯れ竹を取り除く。風下から火を入れ、風上に向かって燃やしていく。サカモエと呼ぶ。猛烈な音で竹がはぜ、火が逆巻き七畝(70アール)の畑地を一時間半で焼き尽くした。アワの種をムラなく散るよう、地面に蒔いていく。旧暦五月中旬。アワヤマが、短期間で約二メートルの若い竹林になる。タカベエといい、火入れされた竹の株から生えたヒコバエで、成長するアワを駆逐するため切り除く。旧暦六月下旬。アワの収穫。穂は、銅版製の爪や竹製のヘラで摘む。天日で乾燥して保存し、家々で食べる分ずつ搗く。旧暦八月下旬。アワの収穫感謝祭・八月祭。島の各宮へのお供え。ツワブキの葉の上にゴス(粟飯)を水で濾して作ったお神酒を注ぎ、収穫を感謝する。かつてアワは島の人々の主食だったのである。

姫田忠義(ひめだ ただよし) 記録映像作家・映像民俗学者

1928年(昭和3年)兵庫県神戸市生まれ。旧制・神戸高商卒。
1954年、民俗学者の故・宮本常一氏と出会い、その影響を受けて日本全国を歩き始める。
1950年代後半より、映像を手段とする記録作業を開始。
1976年、民族文化映像研究所を設立し、2012年まで所長を務める。
2011年、開校と同時に日本映画大学・特任教授に就任。「民俗学」を担当する。
2013年7月29日午後9時55分 横浜市の病院にて「慢性閉塞性肺疾患」のため死去。84歳。7月31日家族のみにて火葬葬を執り行う。

庶民の生活と生活文化を、映像による手段を使い記録作業を50年以上にわたり続ける。
≪「基層文化」=大自然に依拠しつつ暮らす、人間の精神文化≫をテーマに、
120本を超える映画作品を発表。代表作に「アイヌの結婚式」「イヨマンテ」、「越後奥三面 ~山に生かされた日々」(1986年シカゴ国際映画祭ドキュメンタリー部門銀賞)。

1989年 フランス政府より芸術文化勲章オフィシエ叙勲

使用されている画像すべて©民族文化映像研究所

塩屋音楽会, 映画上映|2024.12.05

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