03/21 (火祝) 西部成金 × 塩屋楽団 Buster Keaton’s GO WEST by Shioya Gakudan

 キートンほど「感傷」からほど遠いコメディアンはいない…と、よく言われる。でも、『西部成金』を観れば少し考えが変わるかも知れない。キートンは観客の同情を乞うことは決してなかったけれど、ペーソスを否定もしなかった。『西部成金』は、彼がもっともストレートにペーソスを描いたレアな作品だといえる。『セブンチャンス』のような超人的アクションも、『探偵学入門』のような映像マジックもここにはない。あるのは孤独なキートンがめぐりあう無条件の愛だけ。それはあたかもチャップリンの名作『キッド』へのアンサーソングのようだ。この映画でキートンが深く愛した運命の相手、それは…大きな瞳を持つ美しい雌牛だった…。

 そう、やっぱりキートンはキートンなのだ。前代未聞の人間と雌牛の「ロマンス」が、遥かなる西部のただなかで繰り広げられるとき、ブニュエルを先取りするかのようなシュルレアリスムに行き着く。西部劇小説の古典やD・W・グリフィス『散り行く花』の引用、怒涛のクライマックスにうっすら込められた体制への皮肉…。映画作家キートンの才気がイースターエッグのように隠されてもいる。塩屋楽団とのケミストリーを通して、また新たなキートンの魅力が見えてくる。

(いいをじゅんこ クラシック喜劇研究家)

日時:2023年3月21日 (火祝) open 18:30 start 19:00
会場:旧グッゲンハイム邸(JR/ 山陽塩屋駅徒歩5分)
   神戸市垂水区塩屋町3丁目5-17
料金:予約・当日ともに 2,500円
主催:古典喜劇映画上映委員会
共催:塩屋音楽会・神戸映画資料館

予約・問い合わせ:旧グッゲンハイム邸

TEL : 078-220-3924 FAX:078-202-9033
E-mail : guggenheim2007@gmail.com
* ご予約送信の際に、ご希望の鑑賞日、氏名、電話番号、枚数を明記下さい。
* こちらからの返信をもって予約完了とさせていただきます。
* 火曜日水曜日が休館日のため、メールの返信は木曜日から順になります。


『キートンの西部成金』 Go West 1925 / 80min

監督:バスター・キートン
脚本:バスター・キートン、レックス・ニール、レイモンド・キャノン
撮影:エルジン・レスリー、バート・ヘインズ
美術:フレッド・ガブリー
出演:バスター・キートン、ブラウン・アイズ(本人or本牛?)、キャスリーン・マイアース、ハワード・トルースデール、レイ・トンプソン

塩屋楽団|しおやがくだん

稲田誠(contrabass)
鈴木勝(electric guitar)
森本アリ(casiotone, saxxy, trumpet)
山本信記(piano, synthesizer, trumpet)

神戸の西端、塩屋の海沿いに建つ築110年の洋館旧グッゲンハイム邸を根城にする、そこから徒歩20分以内から集う音楽家たちによる、ご近所楽団。町の祭りへの参加から、近年は映像作品への楽曲提供も増えている。神戸映画資料館での無声映画上映で伴奏を依頼されることも多い。1920年代の奇想天外な無声映画にオリジナル伴奏音楽を提供した「NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ発明中毒篇」は2022年〜2023年、全国のミニシアターを席巻した。

カレンダー, 塩屋音楽会|2023.03.21

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